分譲住宅・分譲マンションブームが与える賃貸住宅への影響は?
国土交通省から平成18年6月分の建築着工統計調査結果の発表がありました。
それによると、持ち家・分譲住宅・貸家ともに着工数は増加し、持家34.125戸(前年同月比2.2%増)、分譲住宅は32,012戸(同比5.2%増)の着工がありました。また、貸家は47,228戸(同比5.2%増)となっています
前述の点からも新築物件との競合、分譲マンションとの競争が激しくなることが予想されますので、貸家(賃貸住宅)への影響はさけられません。
しかし、大手住宅情報誌出版社の「持ち家派・賃貸派」の意識調査では、
賃貸派 58.2%
今のところ、将来も賃貸住宅に住むつもりである 又は できれば持ち家が望ましいが、条件次第では賃貸住宅でも構わない
持ち家派 41.8%
できれば持ち家を購入したい 又は ぜひ持ち家を購入したい
と、賃貸派が持ち家派を上回っています。ちなみに5年前の同じ調査では、賃貸派44.5%、持ち家派55.5% でした。
『持ち家より賃貸』と考える人が、数年前に比べて明らかに増加しているという興味深い結果は、賃貸オーナーにとっては光明の兆しとも考えられます。
このような点からも今まで以上に入居者のニーズを掴み、適正な賃料設定への見直し、リフォーム、設備の充実を図るなど良質な賃貸住宅を提供していく事が今後の課題といえるでしょう。
アスベスト調査や耐震診断とは、どういうものですか?
この度、賃貸物件を入居希望者に説明するときに、「アスベスト使用調査の有無」と「耐震診断実施の有無」について説明することが、不動産業者に義務づけられました。どのように説明すればよいのか、国交省から発表されましたので、ごく簡単にお知らせいたします。
まずこれは、不動産業者に課せられた義務で、オーナーの義務ではありません。しかし、ほとんどのオーナー様が入居者探しを不動産業者に依頼されていますので、間接的にオーナーの賃貸住宅経営に影響します。
アスベストの仕様の有無を調査
まずアスベストですが、オーナー所有の賃貸建物の建材に、アスベストが含まれたものが使用されているか、その調査を行ったかを説明します。未調査ならば「無し」と説明して、それで終わりです(それによって入居希望者が申込みを取りやめる事が、あり得るかもしれませんが)。
アスベスト使用の有無の調査結果の記録が保存されているときは、「その内容」として、調査の実施機関、調査の範囲、調査年月日、アスベスト使用の箇所を説明することになります。実際にアスベスト含有建材が使用されていることが調査結果によって分かったときは、「ではどう対処するか」を説明しないと入居希望者は納得しないでしょう。
それが「吹きつけアスベスト(もしくは含有のもの)」で露出しているなら、危険度が高いので削除した方がよいでしょう。成形板のように接着剤で固められたものなら、飛散の可能性が低いことを伝え、もし老朽によって壊れそうな時期には撤去する旨を説明することになると思います。
耐震診断は昭和56年以降が目安
つぎに耐震診断ですが、オーナー所有の賃貸建物が、昭和56年6月1日以前に建築確認を受けた場合に、診断を行ったか説明しなければなりません。築年数が約25年の建物ということになります。該当するかどうかの判断は、建築確認済証か検査済証に記載されている確認済証交付年月日の日付によります。それらの書類が紛失している場合は、建物登記簿に記載された表示登記日で判断します。そのときは工事期間を考慮する必要があるので、居住用建物なら昭和56年12月31日以前、事業用建物なら昭和58年5月31日より前かどうかで判断します。完成年月日が微妙なオーナー様は、お調べになるとよいでしょう。
耐震性については、昭和56年の耐震基準の見直しによって、その前と後では強度に大きな差があるようですから、人命を預かる建物の供給者としては、診断をしておきたいところです。木造建物の診断ならば無料でやってくれる業者もあるようです。その際は不良リフォーム業者にお気をつけください。まともな業者なら、平面図を基に現地で時間をかけて、地盤・基礎・土台・建物の形・壁の配置と割合・筋交い等を調べ、診断結果として提出するはずです。もし補強をする場合でも、必要なことを効果的に最小資金でできるよう、業者に説明を求めて工事依頼するようにしてください。
修繕計画をあらかじめ立てておく大切な理由はここにあります。目先ではなく修繕のタイミングとして一番効率の良い時期を選ぶために、中長期の修繕計画が役に立つのです。
定期借家契約のメリット・デメリットについて教えてください
定期借家契約とは簡潔に説明しますと、契約で定めた期間の満了をもって、賃貸借契約が終了するものです。
よって、契約当初から一定期間経過後には賃貸物件を明け渡してもらいたいというような場合、最善の契約といえるでしょう。
ただし、定期借家契約ではオーナー側から見て、大きく3つのポイントがあります。
- 更新契約が無い契約である事を、書面で契約前に説明しなければならないこと。
- 契約の終了は、貸主から期間満了の1年以上前から6ヶ月前までに、書面で通知する必要があること。
- 一般の普通契約の賃貸物件より礼金・賃料等が低めに設定されていること。
また、再契約型の定期借家契約(契約満了後に再度定期借家契約を締結する)を採用している物件もあります。
定期借家契約の利点
定期借家契約の利点としてまず初めに挙げられるのは、「不良入居者の排除」です。ゴミ出しや騒音などの入居ルールを守れない、あるいは家賃の滞納を繰り返すような入居者を、この制度なら契約終了をもって追い出すことができます。普通借家契約では裁判所の命令がない限り、たとえ契約が終了しても退去させることは困難ですが、定期借家なら可能です。契約期間が残っている間は「すぐに!」とはいきませんが、いつまでとも知れない普通借家よりは比べようのないくらい有利です。
また、それに関連して、「優良入居者を守る」ことができます。不良入居者のいる物件では、優良な入居者は黙って退去していきます。表面上の引越理由には出てきません。結果、永く住んでもらいたい人が早々と出ていき、手間のかかる人が残る、ということにもなりかねません。オーナーの空室対策にとって大打撃となる場合もあります。
次の利点として「立退き料が不要か最低限」とすることができます。オーナーにとって避けて通れないのが賃貸住宅の取り壊しです。定期借家契約なら、契約解除に正当事由も不要ですし法定更新もありません。立退き料はゼロで合法的に契約解除することができます。"立退き交渉"などはまだ先の話で現実感がないかもしれませんが、いつかは必ずやってくるものです。賃貸経営でなにより肝心なのは"中長期的なビジョン"ですから立退き問題を解決しておくことは重要なテーマです。
定期借家契約の欠点
さて、定期借家権の利点のつぎは欠点についても考えてみましょう。
オーナーにとってのこの制度の欠点は2つで、「家賃が下がる」ことと「決まりにくい」ことだと言われます。
それぞれ検証してみたいと思います。
最初に「家賃が下がる」という点についてです。まず、大手管理会社の中に「我が社の管理物件はすべて定期借家契約」という管理会社が何社かありますが、「家賃は一銭も下げていない」のだそうです。
もちろん広告の工夫や入居希望者への説明、周りの同業者に理解を求めるなど多大な努力があってのことです。「一銭も…」かどうかは別として、検討に値する事例だと思います。
また、次のような考え方もあります。普通借家制度の下で賃貸借契約を行うとき、オーナーには多くのリスクが伴います。不良入居者を思うように出て行ってはくれず、希望通りの契約解除もできない。しかし借主には契約期間中でも1ヶ月前程度の申し出で自由に途中解約が認められ、場合によってはリフォーム費用も回収できません。つまり、普通借家制度のもとでは、10万円の賃料設定をしても、前述のリスクにより実収入は7〜8万円となっていると言えるのではないでしょうか。
このリスクが、定期借家契約によって減少する分があるなら、それに見合った賃料を下げても実収入に差はない、という考え方です。募集条件が下がる分だけ空室対策にもなり得ると思います。
もうひとつの「部屋が決まりにくい」という点についても、前述の管理会社は「そのようなことはなく、入居率は高い水準を保っている」としています。もし入居者が住み続けたいのに定期借家契約によって無理矢理追い出される可能性があるなら、その部屋は決まりにくいでしょう。
少しの工夫と歩み寄り
でもオーナーは部屋を貸すことを商売としているわけですから、問題がなければ建物がある限り住み続けてもらいたいわけです。入居者との利害はいささかも反していません。ルールさえしっかり守れば希望するだけ住めるし、ルール違反をするような入居者は排除されるわけですから、普通借家の物件より住み易いはずです。問題はその事実を、部屋を探している人に正確に伝えることです。広告の工夫や周辺業者からの理解と、紹介の際の分かりやすい説明が必要になります。でも、それらは工夫次第で乗り越えられることです。
最後に、定期借家制度も5年を過ぎ、見直しの提言がいくつかなされています。その中でもオーナーにとって重要なのが「現行の普通借家契約を双方が合意すれば定期借家契約に転換することを可能とする」という変更点です。これが実現すれば、入居中の部屋が更新を迎えた際に定期借家契約に切り替えることが可能となります。家賃を少し下げる等のメリットを打ち出せば合意する入居者も多いのではないでしょうか。
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